「あの花」「ここさけ」に続く秩父が舞台の劇場アニメ「空の青さを知る人よ」を公開初日の昨日観て来ました。
台風が近付く中でのレイトショーでしたので公開初日にしてはお客さんがまばらでしたが、その分集中して観れたと思います。
私には刺さる作品でした
同じ監督・脚本・キャラデザで製作された「とらドラ!」「あの花」の大ファンなので公開を非常に楽しみにしておりました。
この面子が揃ってつまらない作品になるワケがなく…というのは保障されているようなものなので肩肘張らずに観ましたが、一言で称するなら「刺さる人には刺さる」といったところでしょうか。
「君の名は。」の大ヒット以降、その影響を受けた劇場アニメ作品が沢山増えましたが、この作品に関してはそれに影響されることなく”やりたいことをやった”作品だと感じましたが、それはつまり大衆性の排除とも言い換えることが出来ます。
ヒットの条件として幅広い年代層に支持されることが重要ですが、この作品に関していうとメインターゲットが限られているような印象です。
そういう媚びない姿勢はファンとしては嬉しいのですが、広く一般に受け入れられるのかというと…という感じでしょうか。
個人的には”主人公と全く同じ年齢で男性”というドンピシャの属性なので楽しませて頂きましたが。
では「この作品の伝えたかったことはなんだろう?」というのを勝手な解釈で挙げていきましょう。
作品を通してのメッセージは?
「あの花」「ここさけ」に続いてこの作品も”喪失”がテーマにあると思います。
家族、初恋、夢…それらを失くした人たちがその喪失感とどう向き合い生きていくのか?話になっていますが、別の何かで埋めようとしたりそこから目を逸らすのではなく喪失感を抱えたままでいる所にほろ苦さを感じました。
作品を通してのメッセージとしては「自分の幸せは自分で決める」「自分がガッカリしない自分でいよう」という所にあるのではないかと思いますが、それをじっくり丁寧に描いていました。
この企画自体がどうスタートしたかは定かではありませんが、メッセージありきなのだとしたらよく伝わる構成になっていたと思います。
理想と現実を比較して嘆いたり後悔するのは人として自然なことではありますが、大事なのはそこから何が出来るのか?ということです。
それがわかっていても仕方ないと現状を受けいるれるのが”大人になる”ということなのかも知れませんが、自分の可能性を捨て去るには31歳という年齢はまだ若いですよね。
別に私には昔から大きな夢があったわけではないので慎之介と同じように考えることはできませんが、18歳の自分が今の自分を見たらどう思うだろうか…そんなことを考えさせられました。
高い作家性に拍手
唐突に現れた18歳の頃の姿の慎之介が物語の中心的な役割を果たしていますが、果たして彼の正体は一体なんだったのか…劇中では生霊として扱われていましたが、条件問わず誰の目にも見える・触れられる存在だったので何だかその言葉がピンとこなかったんですよね。
じゃあ彼はなんだったのか?ということになりますが、その正体は”人・地元への断ち切れなかった未練”と表せてもそれが実体を伴っているワケですから定義する言葉が見つかりません。
なのでざっくりと生霊と言ってしまうのが正解なのかもしれませんね笑
まさか最後に現在の自分とも接触するとは思わなかったので意外でしたが、そうでなければ先述したメッセージは伝えようのないところなので必然とも言えます。
あの終盤に全てが詰まっていると言っても過言ではないのでそれまでのシーンが少し単調だったのは気になりましたが、キチンと言いたい事が伝わるのが大切なので苦言を呈するほどのことではありません。
あおいが冷めたキャラクターなので無理にギャグっぽい雰囲気にするのも違いますからね…そこは”やりたいことをやった”結果ですのでむしろ賞賛を送ります。
あいみょんの歌、良かったです
とにかく製作陣の作家性のファンである私としては十分に楽しめましたが、これが万人に刺さるのかというと…といった印象の作品でした。
メインの声優を務めた吉沢亮はアフレコも上手で素晴らしかったと思います。
あおいを演じた若山詩音も経験がないとは思えないほどでしたのでキャスティングに違和感がなかったのは本当に良かったです。
ただ吉岡里帆も上手ではありましたがアニメの絵に乗っかる声としては少し薄いんですよね…個人的には早見沙織が適役だったと思いますが彼女は「あの花」に出ているので難しい笑
完全に慎之介の目線で物語を見ていたので女性が見てどんな感想を抱くのか非常に興味があるので探してみたいと思います。
ということで、あおいが使っていたベースがエピフォン製とは言え我が愛するバンドであるザ イエローモンキーのベーシスト・ヒーセが愛用するのと同じサンダーバードでテンション上がった「空の青さを知る人よ」の感想でした!
最後に、あいみょんの主題歌と挿入歌が作品にピッタリだったので彼女のファンには是非見てもらいたいです!
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