2020年3月13日にザ イエローモンキーの新曲「未来はみないで」がリリースされました。
元はバンドのファンクラブ”BELIEVER”限定のメモリアルアイテムとしてプレゼントされたものでしたが、ドームツアーで終焉後に流れたりしたことによる反響で急遽リリースされる運びとなったこの曲、なんと作られたのは再集結が決まった当時とのこと!
復活第1弾の曲は結局「ALRIGHT」となったワケですが、フタを開けてみればこのシーズン2の終了というタイミングでリリースされたことに大きな意味を感じる曲になっています。
この度、晴れてリリースとなりましたので私なりのこの曲の歌詞の解釈”完全私的レビュー”をお送りします。
「未来はみないで」THE YELLOW MONKEY
作詞 吉井和哉
タキシードの召使いが時計のリューズ回して
「何をそんなにお急ぎなのか」
~
歌い出しは完全に解散からの復活を表しているのでしょう。
止まっていた時をまた進める表現に”リューズを回す”という言葉を使うのは過去にあまり使われていない気がするので新鮮に感じます。
「」の部分は多くの期待を持たれているプロジェクトだからこそ「焦っても良いことはないぞ」と自分に言い聞かせているのでしょうか。
永遠とかあるかどうかもう少し調べたいから
今日はずっと一緒にいてくれないか
~
再集結のプロジェクトは期間限定のものなのか永続的なものなのか、きっとこの曲が作られた時は決まっていなかったはずですが(復活ライブの2日目にロビンが思わず言っちゃった逸話がありますので笑)、やはりもう二度と解散することなく”永遠”にバンドでい続ける気持ちが感じられます。
それでもまだ言い切ることができない不安が”もう少し調べたい”の部分に見え隠れする辺りが非常にリアルです。
ここで”一緒にいてくれないか”と呼びかけられているのはメンバーとファンのどちらもでしょう。
復活してからの曲の特徴としてよりメンバーやファンに向けての歌詞が多いですが、この曲ももれなくそうなっています。
薄紅色の花が風の中を舞い散った
強く抱いてもいいかな
~
おそらく桜のことを歌っているんじゃないかと思いますが、イエローモンキーで桜と言えば「悲しきASIAN BOY」ですよね。
この曲の裏テーマとして過去の楽曲へのオマージュというか連想させる要素が散りばめられていると思っています。
桜と言えば春、春と言えば出会いと別れの季節…喜びと切なさ、期待と不安…どちらかというとマイナスの方に寄ってる気持ちを乗り越えるために誰かの支えを必要としていいるんですかね。
”強く抱いてもいいかな”はラブソングとして聞くと非常にロマンチックですが、どちらかと言うと信頼しているからこその弱さを見せているように聞こえます。
未来は見ないで そんな不確かな言葉に隠れて 迷子になったりして
愛とは何かを知ったその朝に あなたはこの部屋出て行くのでしょう
~
未来という言葉は状況によって捉え方が大きく変わる言葉です。
ここではまだ不安に寄った捉え方をしています。
先のことなんて誰にも分らないですからね…不安に感じるくらいなら気にしない方が良いです。
ただいつまでもそうしているワケにもいかないことをちゃんとわかっているから、その先にもちゃんと触れています。
”この部屋”というのはバンドの止まっていた時間のことでしょうか…そう考えるとこの曲は復活が決まる前から書かれていた、なんて考え方もできますね。
言いたいこと やりたいこと この先だって変わるよ
何も石に彫ったわけじゃないからね
~
ここでもまだ復活してから先の不安が感じられます。
言葉の通り、人生何が起こるかわかりませんからこの不安は誰にでも共通なもので、その時その時に大事なものを尊重するのが正しい生き方であるはずだと私も信じていますので非常に共感します。
もしかするとですが、一度解散してしまったことへの後悔なのかもしれません。
ただ結果として解散したからこそ出来た楽曲、見えた景色があったワケですから今では良かったと言えるでしょう。
誰かの歴史をなぞった スーパースターが横切った
子犬を抱えながら
~
ここだけはいくら個人的解釈とは言ってもピンとくることが思いつかず…”誰かの歴史をなぞったスーパースター”は様々な音楽ルーツを持つイエローモンキー自身なのかな?と思わなくもないですが、それが”横切る”となると誰視点なのかワケがわからなくなります。
”子犬を抱えながら”にも繋がらなくなりますし…なのでここでは余計なことは言わないでおきましょう。
スーパースター+犬となるとデビッド・ボウイと結び付けられないこともないですが、全然子犬じゃないんですよね笑
目覚めの口づけ 擦れ合う肌に
生まれたてのような 喜びを見てた
~
1番のサビと打って変わって、ここでは”目覚め”=”再始動”への”喜び”が歌われています。
この喜びと不安が対になっている歌詞はただ素晴らしいセンス!としか言いようがありません。
また再集結のことを歌っていながら男女のラブソングにも聞こえるのも素晴らしいです。
好きな歌を一緒に歌わないか?
そのために歌があるなら
ほうき星がサヨナラって消えた 窓の向こうは
~
この曲でもっともお気に入りの歌詞がこの部分になります…この歌詞が如何に素晴らしいかを書きたいがためにこの記事を書いているところがあります。
”好きな歌を歌う”といえばイエローモンキーのアンセムである「JAM」を一瞬で連想しますよね。
初めて聞いたナゴヤドームで、復活の前に最後に人前で披露された「JAM」の一節を使っていることに気付いた時から涙が溢れて止まりませんでした。
また”一緒に歌わないか?”と呼び掛けてくれていることがただ嬉しいと同時に、それが現実になっている今がとんでもなく愛おしく思える本当に素晴らしい歌詞です。
自分は一度解散する前のイエローモンキーを見ることができなかった人間なので”今”に対しての想いが強くあります。
”ほうき星”のくだりは想像力をかなり働かせると、願いをかける流れ星が別れを告げるということはもう願う必要がなく、想いが実現することを表している…と解釈できなくもないと思います。
未来は見ないで 今はここにいて
昔のことだけ 話したっていいから
~
ここは文字通り”昔”からのファンへのメッセージなのではないでしょうか。
復活は喜ばしいものでもありますが、やはり当時の姿との比較は避けられませんし、中には「昔の方が良かった」という方もいないとは限りません。
そう思うであろう人に対しても寄り添う覚悟と言いますか、好きでいてくれたことへの感謝と言いますか…相当の想いがここには込められていると感じました。
未来は未来で 大きな口を開けて
笑ってるのかな それならいいけれど
~
ここで遂に”未来”に対して前向きな見方ができるようになっています。
人はどうしても悩み迷うものですが、どんな想いを抱いていたとしても過ぎる時間は平等ですから後ろ向きに考えるよりはできるだけ前向きに考えられた方が気持ちは楽になるに決まっています。
ひとつの曲の中で大きく気持ちの変化があるのは、解散してから復活を決意するまでの心の変化を表しているのかもしれませんね。
愛とは何かを知ったその朝に
僕らはこの部屋出て行くのでしょう
また会えるって 約束して
~
1番では”この部屋”を出て行ったのは”あなた”でしたが、ここでは”僕ら”になっています。
つまりはまたこれから一緒の時間を過ごそうという気持ちの表れであり、もしも道を違えることになっても”約束”があるから大丈夫と言ってくれているのでしょう。
この言葉さえあれば心配することはもうありませんよね…改めてこの復活が非常に前向きであることも感じられて素晴らしい結びになっています。
またひとつ、名曲が生まれました。
もし「ALRIGHT」ではなくこの曲が復活最初の曲としてリリースされたとしたら間違いなく今回の解釈とは全く違う聞こえ方がしたでしょう。
ただ今このタイミングで聞いたことによる感動の方が大きいであることは間違いなく言えます。
この曲が初披露された京セラドームでのMCで「曲には然るべきタイミングがある」といった旨の話をしていましたが、まさにその通りでしょう。
「ALRIGHT」だったからこそ復活のツアーは最高のものになり、披露される度にパワーアップして今では立派な横綱曲になっています。
ドームツアーを終えたらバンドはしばらくお休みに入りますが、このタイミングで「未来はみないで」がリリースされたことで”また会える”日を信じて待つことができるワケですから。
これはもう何度思ったことかわかりませんが、本当にいちいち運命的なものを感じさせるバンドです。
ということでまたひとつ、ザ イエローモンキーというバンドを愛さずにいられなくなる本当に素晴らしい名曲「未来はみないで」の完全独自解釈のレビューでした。
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