2019年4月17日、ザ イエローモンキーの19年振り9枚目のオリジナルアルバム「9999」(フォーナイン)が発売されました。
前代未聞の全曲生演奏で行われた世界最速先行試聴会に始まりテレビ、雑誌、ラジオなど様々メディアで連日プロモーションが繰り広げられ、遂にリリースの日を迎えたワケですが「何としてでも届けたい」いや「届けなくてはいけない」、そう思うのも当然な日本ロック史に残すべき傑作でした。
私自身、生まれて初めて購入した「イエローモンキーの新譜」ということでいつも以上に興奮している所もありますが、たとえ冷静な見方をしたとしてもこのアルバムを表する言葉として「傑作」以外の表現をすることはないでしょう。
そんな”平成最後にして最高のロック・アルバム”「9999」の完全独断による全曲レビューをお届けします!
THE YELLOW MONKEY「9999」
1.この恋のかけら
「聴く順番を間違えたのかな?」と錯覚してしまいそうなほど、とても静かでさみしげな始まりの曲ですが、この曲が最初に収録されていることがこのアルバムをより傑作たらしめています。
落ち着いたまま一定のテンポや、物事の終わりや行き場のない想いが綴られた歌詞からは1曲目っぽさは感じられません。
ただこう言う言葉がありますよね?「終わりこそが始まりである」と。
よって終わりを歌ったこの曲こそ、1曲目に最もふさわしいのです。
サビで歌われている「恋のかけら」は心に残ったままの様々な気持ちのことで、その始末の仕方を探しているような問い掛けをしていますが、きっと本心では胸に刺さったままでイイと思っているのではないでしょうか?
そういった辛く感じる後悔のような気持ちすらも抱えて、ここからまた新しい物語を始めようという強い決意の歌だと感じました。
これはもう間違いなく解散していなかったら生まれなかった曲です。
止まっていた時間がまた動き出したのを感じる、何度も言うようにこれ以上に相応しい”1曲目”はありません。
2.天道虫
そしてよっぽど1曲目っぽいアップテンポのナンバーに移行するわけですが、「強い決意」からの「復活」を歌った曲なので2曲目にピッタリ!としか言いようがありません。
このアルバムは完全な新曲とすでに発表済みだった曲とが交互に配置されているのですが、時期がバラバラに作られたとは思えないほど1つ1つの曲が1枚のアルバムを構成するピースとしてガッチリハマっているんですよね。
これを計算して作ってたのだとしたら、これまで待った甲斐もあったというもの笑
「ここから飛ばしてくけど付いてこれる?」と言わんばかりの疾走感が堪らない曲です!
歌詞をより深堀した記事はコチラ
3.Love Homme
視聴会で聴いた時からエロい曲だなと思っていましたが、歌詞を改めて読んだら想像以上にド直球のエロさで言葉を失いました。
(もちろん褒めてます!笑)
こんなエロスに溢れた歌詞をカッコよく歌えるなんてロビンくらいしかいないでしょうね…紛れもない「唯一無二」というヤツです。
それこそがイエローモンキーの真骨頂!
デヴィッド・ボウイの影響をモロに受けている所を一切隠そうともしない潔さももはや個性です。
4.Stars(9999 version)
この曲に限り、リアレンジしたことが明確に表現されていますが、一体どんな所が変わったのか聞き比べてみました。
…が、わかりやすいのは「砕けて散るのもアリ」の後に入るハンドクラップで素人の耳にはハッキリとした違いは不明でした笑
気持ち女性コーラスがより聴こえるような気がするのですが…これはいつか公式の説明が欲しい所です。
この曲はデヴィッド・ボウイを意識して作ったと公言されているので、前の曲との繋がりもバッチリとなっています。
ライブで再現できるようにハンドクラップを練習しておきましょう!
5.Breaking The Hide
昭和歌謡的なキャッチーさとハードロックの融合。
これもイエローモンキーの四十八手のひとつです。
(実際はそんな無いと思いますがエロい表現をどうしても使いたくて笑)
サビにおける韻の踏み方がとにかく心地良いのと、最後のフレーズのセクシーさが堪りません。
そして2番のサビ終わりにそれまでの曲調を文字通り「Breaking」するエマのギター!
視聴会の時点で早くもお気に入りの曲でしたが、聴けば聴くほどにハマってしまうクセにならずにいられない曲です。
6.ロザーナ
「凍り付くような悲しみ 溶けるほどの喜び」
活動休止、解散、そして復活。
「見たような見たことない景色が キレイな色で塗り直されて見えた」
再びステージに帰ってきた喜びを歌っていると思いますが、アルバムをリリースしてからではまた違った色の景色が見えるのではないでしょうか?
「君といられた 長いようで短いこの季節を 信じ続けた 草木が揺れているよ」
メンバー同士、そしてファンが愛し続けていたからこその今があります。
「帰ることのない街 戻ることのない道 走り出したら 次のゲームを始めよう」
この幸せな今はこれからもずっと続きます。
7.Changes Far Away
収録曲の中で最もパーソナルな部分が見える曲ではないでしょうか。
それは天気や季節といった誰もが感じる感覚や生きるために欠かせない食事のことが歌われているからでしょう。
「過ぎてしまえば黄金時代はいつだったんだろう 今がそれだったりね」
間違いなく今がそうでしょう。本人もそう思っているからこそ出る言葉なのでは?
華やかなだったり淫らだったりすることだけでなく、こうした地に足付いた曲も書ける引き出しの多さがあるのですから。
暖かさと優しさのあるギターオーケストレーションが胸に沁みます。
この曲の歌詞を解釈した記事はコチラ
8.砂の塔
”地に足付いた”なんていったそばから「安定はしない」ですからね。
この振り幅の広さもイエローモンキーの魅力です。
安定も大事ですけど、それだけじゃつまらないですからね。
そういう「不穏さ」や「揺らぎ」こそ人の魅力だと思いますので、それが存分に表れているこの収録順はやっぱり素晴らしい。
どんどん高い所に上り不安定になって例え落ちたとしても、その手を掴んで一緒に落ちていきたいと思わせる、危険な魅力のある曲ですね。改めて。
9.Balloon Balloon
平成も終わろうとしているこの時に、こんな昭和全開な曲が聴けるとは…。
ワードセンスも曲調もすべてが隠しようのない昭和感!(褒めてます!笑)
好きな事をやっている時こそ、その人の魅力が一番に発揮されると思っているので、とことん「好き」を詰め込んだであろうこの曲も非常に魅力的に聞こえるのです。
サビのコーラスワークはライブで観たら死ぬほどカッコいいんでしょうね…。
ロビンが歌っているのも当然最高なのですが、昭和のスターが歌っても最高に似合いそうです。
10.Horizon
もはやイエローモンキーを語る上で欠かすことのできない1曲となりました。
私はこれ以上の優しさに満ちた曲を他に知りません。
メンバーの、そしてファンとの絆を歌ったこの曲さえあればどんな辛いことがあっても乗り越えられるんじゃないか、そんな強さをくれる曲です。
今が幸せ、それだけで勿論十分なのかもしれません。
でも失った悲しみをしっているからこそ、それを感じることができます。
当たり前のようで当たり前ではない奇跡を生きていることに感謝します。
この曲への想いを綴った記事はコチラ
11.Titta Titta
「Horizon」とはまた違った意味で背中を押してくれる歌です。
語り掛けてくるような口調から感じる優しさとポジティブな言葉の数々…ここまでひとつひとつを深く考えている私に「肩の力を抜いて楽しめよ」と言ってくれているように感じました。
ずっと気を張ってたらどこかで無理がきますからね。
一流の人間は気の抜き方だって一流なんです。
それでも魔法の呪文には隠し切れない色気が漂っている辺りがイエローモンキーならでは!といったところなのでしょう。
12.ALRIGHT
復活の象徴たるこの曲には今更言葉は不要かもしれませんね。
何度別れたとしても何度だって出会い続ける、切っても切れない縁、生命の循環。
3年前のあの日飛び立った蝶は妖しい光を放ちながらこんなに遠いところまで来ました。
それでもまだまだ終わらない旅をこれからも共にする準備は?
言うまでもありませんね。
13.I don't know
幸せに溢れたカムバックを経て、ここからまたバンドの真価が問われる勝負が始まることを歌った曲ですが、このアルバムの最後に聴くと、きっとこれからもっと凄い景色を見せてくれるだろうと確信できます。
過去があるから今がある。
それを認めているからこそ歌えるイエローモンキーだけが持つ強さに溢れています。
辛いことからなんて逃げてしまった方がラクに決まっていますが、それを受け止めることでしか得られない強さがある。
今のこの幸せな時間は解散をしてなかったら絶対に有り得なかったわけですから、人生そんな嫌な事ばっかりじゃないよ、というのはメンバーが身を以って教えてくれているのでファンとしては付いていくしかないです。
その先に何があるかは「I don't know」知りません。
だけど何があったって「I don't know」知りやしないよ。
何故ならメンバーと、この曲達と生きる今が幸せなんですから。
この曲の歌詞を深堀した記事はコチラ
現在進行形の”奇跡”が形となった「平成最後のロック・アルバム」
19年という長い時間とその間に起った様々な経験、そしてその中で生まれた色々な感情が凝縮された大変濃密な1枚でした。
今回初収録の曲たちは新鮮さだけでなく、昔から変わらない魅力が今も健在であることを感じさせてくれ、リリース済みだった曲たちは復活から一緒に歩んできた幸せな時間を思い出させてくれます。
リリースまでに時間が掛かりましたが、その時間があったからこそ、その時間が無ければ完成することがなかった傑作です。
私がイエローモンキーのファンになった当時、彼らはすでに活動休止中でそのまま解散してしまったので、今回の「9999」が初めて手にした「イエローモンキーの新譜」でした。
一番好きなバンドにも関わらず、一度も4人揃った姿を見ることなく死んでいくのだろうと、一生後悔をし続けるのだろうと思っていた私に起きた”復活”という最初の「奇跡」と、今回の”新譜が発売される”という2つ目の「奇跡」。
当たり前のようで当たり前ではないことに、1曲目から涙が溢れて止まりませんでした。
本当に彼らを愛し続けて良かったと、心の底から思います。
ただ、これもまだ始まりにすぎません。
このアルバムで真の復活を果たしたイエローモンキーがこれから起こし続ける「奇跡」には必ず続きがあるのですから。
平成という時代の終わりに誕生した最後のロック・アルバム「9999」はウソ偽りなく、紛れもない、唯一無二の、永遠に語りつぐべき、傑作です。
【メーカー特典あり】9999 (初回生産限定盤)<CD+DVD>(特典DVD付)
- アーティスト: THE YELLOW MONKEY
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2019/04/17
- メディア: CD
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世界最速先行視聴会の記事はコチラ
このポスターの言葉の通りの傑作でした。